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image 院長 中村秀夫


妊娠高血圧症候群

以前、妊娠中毒症といわれていた病気は、現在では「妊娠高血圧症候群」という名称に変わりました。妊娠中毒症とは元来、高血圧、蛋白尿、浮腫を3大症状とする病態でした。その原因は、何らかの悪い物質(中毒物質)が出現することにより起こると考えられたため、妊娠中毒症という名称になりました。その中毒物質を探し出す研究が、永年にわたり行われてもきました。
それが近年になり、妊娠中毒症は、中毒物質が原因なのではなく、妊娠によって腎臓や血管が負荷を受け、生理的に適応できなくなって起こる病態であり、主体は高血圧で、他の症状はそれに付随するものと考えられるようになりました。
この考え方により、欧米では30年位前から、妊娠に伴う高血圧症候群という分類が提唱され、世界的にもこの分類が徐々に主流になってきました。日本でもこの流れに逆らえず、日本産婦人科学会では平成16年にようやく、妊娠中毒症の名称を「妊娠高血圧症候群」に改めることとしました。
「妊娠高血圧症候群」という名称が示す通り、3大症状と呼ばれていた高血圧、蛋白尿、浮腫の中で高血圧が一番重要な症状であり、高血圧を伴わない蛋白尿や浮腫はほとんど問題がありません。
また、この病気の特徴は、軽症であればほとんど心配ないのですが、重症になると大問題となることです。最悪の事態として、高血圧に伴う脳内出血、高度の蛋白尿の持続による腎不全があります。
重症になった時点で胎児の発育はほぼ停止し、胎内死亡の危険性もでてきます。胎盤早期剥離という病気を誘引することもあり、その場合は母親の生命の危機を招きかねません。
そして残念ながら、重症となった場合には症状が軽減することはなく、唯一の治療法は妊娠の中断となります。すなわち、たとえ早い時期であっても、帝王切開をして妊娠を終わらせるしかありません。
妊娠には、このように怖い病気があることを心に留め、妊婦健診をきちんと受けるようにしましょう。